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空想の世界で息づくキャラクターを
現実世界で生命のあるものに。

可愛らしいフォルムのキャラクター達を独自の世界観で描くイラストレーター新納英仁さん。
アパレルブランドとのコラボプロダクトや
アーティスト公式キャラクター制作など、近年益々活躍の幅を広げています。
そんな新納さんの考える「生きた」キャラクター作りとは?

Free&fun,produce work

クライアントにとらわれすぎないことが、
血の通った作品を生み出す。

最初にアパレルプロダクト作りに携わった頃、クライアントからは自由に作ることを求められました。フラストレーションを感じずに作れると安心していたのですが、実際には色々考えてしまい、自分から相手に寄ってしまっていました。経験を重ねていく中で徐々にそんなにとらわれる必要がないんだな、と気持ちが変化していったのです。
イラストの上手な人がたくさんいる中、他の人ができないことをやらないと、という意気込みと、アパレルの「自由に、楽しく」というノリがだんだんとリンクしていったので、そこが大きいですね。
今は他のお仕事でも「一度要望を無視してみよう」と意識しています。ちゃんと情報を伝えなければいけない、と思い込み過ぎていたのかもしれません。作ったものに血が通うためには、もっと自分の好みや個人的な考え、癖のようなものがあっていいんだと思うようになりました。企画、開発、バイイング、販促ツールのデザインも自分自身で手掛けるようになり、最終的にはVMDというのは肩書きだけになっていましたね。

Balance of lines and color

キャラクターを動かす線のフォルムと、
色の重さが生み出す心地よいバランス。

イラスト制作は、何となく鉛筆を動かして線を描いて行くところから始めます。そこから段々と形にしていく感じですね。絵柄として複雑なものではないので、線が気持ち悪いとキャラクターが動いてくれないんです。
線のフォルムがメインになるので、色は線の邪魔をしないということに重きを置いています。黒が重くて黄色が軽いというように、色を「重さ」でみていて、一枚の絵の中で全体のバランスをとるためにどういう重さの色を置くかを考えるのですが、その目印になっているのが黒で、どんな絵でも黒から置きはじめます。
使う色は割と決まっていて、水色、黄色、ピンクという組み合わせが好きですね。重みのバランスも心地いいです。

The origin of the illustrations

中学時代の経験が原点の、
人の動きを意識したイラスト制作。

中学生の頃、バスケ部の友達とバスケットシューズのデザインをたくさん描いていました。NBAの試合もテレビで見ていたのですが、試合中もバスケットシューズばかりを見ていて、ソールにだけ色が入っているもの、つま先に重い色がのっているもの、それぞれ動いた時の気持ちよさやバランスが違うことに気づきました。その経験から、動いた時の見え方をよく考えるようになりました。
洋服の場合、既にプロダクトのカラー展開が決まっていて、その上にイラストをのせる形になるものも多いのですが、モチーフだけが浮かないように気をつけます。普段使っている赤は重すぎるのでちょっと明るくするなど、物として一つに馴染んでいる方が、それを身につけて動いた時に印象が変わるような気がしています。

To create a freely favorite things

好きなものを自由に作ることが、
キャラクターを無理なく存在させる。

例えばベビー服の場合、小さい女の子を持つママに受けるような、女子力の高いもの目指そうとすると、好かれようとする下心が透けてしまうので、なるべく自由に作るようにしています。依頼内容を意識しすぎると出来上がりが硬くなってしまうので、予め作られたキャラクターをアレンジして合致させていくこともあります。半分は好き勝手に作って、少しテイストをそちらに寄せるくらいの方が無理なくキャラクターが存在する気がしますね。

Life dwells in character

キャラクターそれぞれのディテールが世界観を生み、
命が宿る。

数年前に絵本の制作を始めたのですが、まだ出来ていないんです。頭の中にある世界を見てもらいたいと思って描くのですが、出来上がりが思っている物と全然違うので、苦しい時もありました。たくさんキャラクターが居た方が、単体よりもキャラクター同士のかかわり合いや、皮膚の硬さはどのくらい、といったディテールが生まれ、世界観が出てくるので、そこが好きです。そういうことが最近になってようやく掴めて来たという感じですね。
描いていると、自分とキャラクターの関係が出来てきます。こいつはすごくおてんばだなとか、この子は一人じゃ何にもできないから優しく接してあげようとか、そういうものが生まれてくる。命が宿る、という感じです。背景に何も描いていなくても、自分の中ではそのキャラクターの足元から世界がうわーっと広がっています。キャラクターを作ることよりもむしろ世界を作る方が楽しいですね。想像できる余地があるので。
例えば帽子のかぶり方ひとつにしても、この子は耳に帽子をかけていて、それがオシャレだと思っているとか。現実的にはありえないものが、「楽しさ」に繋がると思います。

Encounter with their new

店頭ドローイングならではの、
新たな自分との出会い。

あるアパレルショップで、窓にカラフル絵を描いた時は自分でもすごく楽しかったです。外でのドローイングだと制作日数も限られているので、普段だったら止まってしまうようなところも、あまり躊躇しないようにしています。出来上がった時には新たな作品という感じがしますね。

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イラストレーター&グラフィックデザイナー。
2005年「SHIFT」のカレンダーコンペティション入賞からキャリアをスタート。
SILAS・BEAMS-Tなどのアパレルから、Pro-kedsでのアニメーション等、様々な媒体で活動中。
2006年に香港で開催された「HELLO KITTY SECRET HOUSE」展への参加を皮切りに世界各国で展示を行うなど、精力的に展開している。

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